予備校から分厚いテキスト(デ〇〇〇・ネ〇等)がたくさん届いた時のワクワク感、まだ覚えています。ここから自分の司法試験受験生としての生活が始まるという期待感。これらのテキストを本当に全部頭に叩き込んでいくのだろうか?という武者震い(実際には全部を叩き込めなかったものの、①暗記はしないまでも試験に出る法律の論点の内容を正確に理解すること、②定義・論証と言われる短い文章を暗記してそのまま答案にかけるようにすること、の2点を征することが司法試験を突破するということに合格直前に実感することになります。なお、①については、弁護士の稼働期間も含めると15年近く法律に触れていることになりますが、長期間法律に触れていると脳の構造が変わってくるのか、プライベートでもあるモノゴトに対して脳が勝手に物権や債権といった具合に法的な処理をしてきます。真の理解による賜物であると思っております。)。
予備校の入門講座の授業コマは、記憶ですと3時間(休憩時間20分含む、以下同じ。)×129コマあったと思います(もちろん、入門講座はあくまでも入門なので、これが終わると次の講座が待ち構えています)。
すでにその年の早春から開講している講座でしたので、晩秋から講義に合流した私はもっぱら録画された過去の講義をパソコンで再生して受講するというスタイルで授業を消化していくこととなりました。「いずれは追いついて水道橋校舎でリアル開催されている講義を受講するんだ。」、と意気揚々はじめたのは良いものの、この願いが達成されることは決してなく、講義を聴くだけでは頭に入らないため復習をするものの、復習に時間をかけていたら次の講義を受講できないという地獄の無限法律トレーニングが(自宅パソコン前のエリアで濃厚に)始まることとなりました(憲法→民法→刑法→会社法→民訴法→刑訴法→行政法と進んでいくのですが、憲法を終えて民法の講義を受けているときに、憲法に少し戻ってみると何もかも忘れているという経験をして絶句することとなります)。
まず、講義自体長いと思ったのですが、司法試験科目の法律の習得には3時間×129コマでは到底足りず、講師も仕方なく飛ばしつつ急ピッチで進めます(講師が「ここはあまり重要ではないのでペンディングです。」といつも言うのがなぜか好きでした。ペンディングとなったところの一部はそのまま触れられることなく全講義が終了することもあり、復習してテキストを読んでいると、「P」とメモしてある見慣れない記述を「はて?これは?」とよく目にしました。)。
また、当時は入門講義さえ聞けば司法試験合格にぐっと近づくと思っていたのですが、実際に3時間×129コマを聞いたところで司法試験に合格するだけの勉強量からの進捗は5%もなく、この10倍以上の復習をしてようやく問題が一応解けるようになり、さらに別に答練といった論文試験の勉強を何百、何千時間して、やっと形になるという感じです。
大学3年生に進級し、5月には初めて司法試験予備試験(合格するとロースクールを修了しなくても司法試験を受験することができる試験)を受験してみるもののその壁の高さを実感させられる(一次試験が160点合格で100点いきませんでした)ということもありました。
12月には、就職活動が解禁されました。
その頃の勉強の進捗状況として、ロースクールに進学することは一応出来るレベルであったとは思うのですが、周りのほとんどの同級生が就職活動をする雰囲気の中、(臆病風が吹いたこともあって)まずはせっかくの新卒カードを大事に活用しようと少しこじつけて、ロースクールへの進学はいったんやめて就職活動をすることになりました。
大学4年生になった頃すぐに金融機関から内定をもらうことができたのですが、気の抜けた私は2年生の晩秋から3年生の12月までの期間とうって変わって法律の勉強をやめました。
大学卒業後、入社してすぐに、大学時代に積み残していた行政書士試験合格を達成したいとその勉強を開始しましたが、結局のところ、金融機関での仕事がどうも自分に向いていないと割と早い段階で感じ、退職の選択肢が頭に浮かびました。
ということで、新卒一年目11月に行政書士試験受験後すぐに司法試験の勉強にシフトし、翌々年にロースクールへ入学することとなりました。ただ、民間企業で働いたという経験は何事にも代え難い財産で、弁護士になってからもその経験は大いに役に立っていると考えます。
また、社会人経験というものは、ロースクールと司法試験においても非常に役立ちました。というのも、学生や資格勉強をしているという状況のほうが仕事をするよりも比べ物にならないほど楽だからです。責任感なく、自分が勉強をしたいだけ自由に勉強をすることができるというのは、人生の時間においても幸福な時間であったと思います(もう一回大学に入りたいです。宝くじがあたったら何がしたいか、というのはよく話題にあがりますが、その場合、もう一回大学に入って、哲学を学んでみたいです)。
もちろん、司法試験固有の難しさによる苦労はありますが、これも、勉強方法を間違えずに毎日勉強していれば、少しずつ薄れていくものでした。
1年目の受験では落ちてしまいましたが(合格まであと170人くらいでした)、2年目の受験にて合格することができました。
ちょうど、28歳になった頃でした。
(続く)